一瞬顔をてっちゃんに向けて、また前を向く。
「ちょいちょいちょーい!なんだよそれ、失礼だろ」
てっちゃんに肩をつかまれ振り返る。
にこっと笑うと、てっちゃんもほわっとした表情をするけど、すぐに顔を横に振った。
「あっぶね。桜音のキラキラースマイルに騙されるところだった」
「なにそれ?」
「キラキラとキラーをかけてんだよ。お前ってキラキラした笑顔するじゃん?それで何人の男がやられたと思ってんだ?」
「意味わかんない」
てっちゃんの話を真剣に聞こうと思ったわたしがばかだった。
スタスタと歩いて教室に行く。
「今日の桜音はいちだんと冷たいな」
「倉田くんがなにかしたんじゃないの?」
「してないって。桜音って慣れた人には冷たいから、また距離が縮まったな」
「超ポジティブ。それで突き放されてるなんて変な話だけど」
菜々子ちゃんとてっちゃんが楽しそうに話している。