まだ待ち合わせたばかりなのに、すでに日向先輩のかっこよさにドキドキが止まらない。
「行こうか」
「はい」
「じゃあ、手」
「え?」
「繋ぎたいから」
日向先輩、反則です。
もうわたしはキャパオーバーです。
爆発しそうなくらいの心音。
だけど、差し出された手に自然に手を重ねていた。
ぎゅっとしっかり握られて、先輩が顔を覗き込んできた。
その表情もなんだか照れていて、わたしだけじゃないんだって。
先輩もちゃんとドキドキしてくれてるんだって、うれしくなった。
そのまま手を繋いで、昨日一緒に決めた映画を見に映画館へ行く。
「桜音ちゃんはよく映画見るの?」
「てっちゃんに連れられてたまに来るくらいですね」
「ふーん」
あれ?
なんか素っ気ない?
いきなり返事が冷たくなった気がした。