肩を引き寄せられたことで、女子の悲鳴が響いた。
これ以上はいろんな意味でやばい……!
察したわたしはさり気なく日向先輩の腕から抜けて頭を下げる。
「本当にありがとうございました!頑張って同じ高校に行きます!あと寂しいですが、ご卒業おめでとうございます!!」
「うん」
「桜音ー!」
「はーい!いま行く! ではわたしはこれで失礼します」
てっちゃんの声が聞こえたから返事をして、日向先輩に向き直ってペコッと会釈をすると日向先輩はまた儚い笑みを浮かべていた。
日向先輩の心が締めつけられるような表情。
ドキッと胸が音を立てる。
「桜音早く!」
てっちゃんの急かす声で日向先輩に背を向け走って、てっちゃんの元へ行った。
背を向けた瞬間に日向先輩の名前を呼ぶ女子の声で賑やかになった。
いっぱい励ましてもらったな。
日向先輩っていい人だ。
「どこ行ってたんだよ」
「ちょっとね」
「なんだよそれ」
「ひみつ」