スイーツ男子

バンッ!

突然教室に大きな音が響き、何事かと数人のクラスメイトが振り返る。
時は過ぎて昼休み、友達の山内桃(やまうちもも)が私の前で土下座していた。

「ほんっっっとぉぉぉにごめん!!!!」

私は足を組んで冷たい目でじっと桃を見下ろした。

「私、言ったよね桃。」
「はい、言いました。」
「なんて言った?」
「1ヶ月ほど前の今頃に梨律様の原稿の手伝いをすると約束しました。」
「そうだよねー。んで進歩は?」
「、、、全く進んでおりません。」
「うん、知ってる。だって締切一週間前なのに全然連絡こないもんね」
「ほんっっとすみません、すっかり忘れておりました、、、」
「3日」
「へっ」
「3日で仕上げてこないとこの連載は打ち切り」
「ひっひえええええ」
「わかった?」
「そんなの無理っ、、、」
「わかった??」
「ひぇ、、、わかりまひた、、、」

桃はよろよろと立ち上がって教室を出ていった。
「はぁ、、、全く」
長いため息をついて足を組み直す。
実は私は幼馴染の桃と漫画を連載している。
そして私の父はコミックスの編集長だ。

先日父に「桃の原稿どうなった?」と聞かれ今に至る。
隣で一部始終を見ていた結友くんがコソッと聞いてきた。
「ねぇ、あなた漫画家なの?」
喋る度に耳に息がかかり少しドキリとする。
「、、、さぁね」
「だって原稿とか言ってたじゃない」
「なんの原稿かは言ってないし」
「どんな漫画描いてんの?」
「さぁねー」
「んもぅ梨律ちゃんのいじわるぅ」

結友くんは諦めて再び黙々とお弁当のおかずをつまみはじめる。

(、、、ていうかお昼の時は迷惑になるからって女子を寄りつけないようにしてるけど、、、流石に視線は防げないな)

結友くんファンの痛い視線を後目に感じながら私も黙々とパンを齧った。