「一体なんで、桜花ちゃんはあんなことを言ったんだろう」
さっきから、シフォンケーキを食べる手が進まない。
気持ちがもやもやしていて、家にいる気分になれなかったので、わたしは帰宅して私服に着替えた後に、カフェに行ったのだ。
塾の体験、か。
桜花ちゃんには、申し訳ないけれどあの塾はやめたくない。
奈緒と美咲には、学校で会えることは分かっているけれど親友と一緒にいる時間が減るということに変わりはない。
桜花ちゃんが、どう考えているか分からないけれど、「あの塾、すぐにやめてくれる?」と言っていたことも頭から離れない。
その後すぐに、「ちょっと違った」と言ってわたしに似合う塾があると言っていた。よくよく考えると、それってあまり変わらないことなのではないか。
わたしに似合う塾。つまり、そこに移ってほしい。そのために、あの塾をやめてほしいということではないか。
そんなに桜花ちゃんは、寺本とわたしを一緒にさせたくないのかな。
そう思いながら、わたしはアイスコーヒーを飲んだ。



