お前がいる場所が、好き。Ⅰ


「もし、栗原さんが本気で寺本を好きだとしたら……」



美咲が腕を組みながら、眉を潜めた。



「沙織と一緒にいたから、その時に付き合ってると思われて、どういう関係か聞いてきたんじゃない?」



「そうね。それで、丸く収まるといいんだけど」



「そ……そうだね」



なぜか泣きたい気持ちになった。別に桜花ちゃんに対して不快感を持っている訳じゃないんだけど。


もし、それで丸く収まったらなんだか嫌な予感しかしない。



「とにかく、また栗原さんと何かあったら絶対、あたし達に話してね。栗原さん、丸く収まらなかったら、沙織に何かしてくる可能性もゼロとはいわないから」



奈緒が、わたしに注意するように言った。
さすが奈緒。わたしだったら、そこまで考えられない。


けれども、桜花ちゃんは、悪い人ではないと思う。
それにどういう関係か聞いてきただけで悪い人扱いするというのは、ある意味失礼だ。



「……うん。分かった」



わたしは奈緒の言葉に小さく頷いた。