家に帰って、わたしは奈緒に教えてもらっていたところの復習をすることにした。


少し疲れて、背伸びしようとした時に、わたしの携帯から電話がかかってきた。



「もしもし?」



『おい、増山』



寺本の声だ。何故だか、彼は怒っているようで、強気な口調だ。



「な、何?」



『お前さー、青柳から聞いたぞ。俺と増山が、最近湖で会ってること。恥ずかしいから、やめろよ! こっちは、誰にも言ってないっていうのによぉ』



そういえば、美咲に寺本と会っていることや、彼がツンデレだということを言っていたんだった。いつのまにか、その情報が本人のところまで渡ってきていたんだ。



「ごめん、寺本」



まさか、こんなに怒られるとは思いもしなかった。



『ま、まあ、俺が悪いことしたことを話されるよりは、マシだけど』



寺本は、少し決まり悪そうに言った。



「悪いこと? なんかしたの?」



『おい、聞くなよ』



寺本は、面倒くさそうに言った。



「大丈夫、次は誰にも言わないって!」



『駄目だ! 信用出来ねえ』



彼の言葉の後、電話は、ぷつりと切れた。