お前がいる場所が、好き。Ⅰ


魚を持った飼育員さんのところへ、ペンギン達がぺたぺた歩いた。



「か、可愛いなぁー……」



こんなに可愛かったら駆け寄って、抱きしめたくなる。いっそペットにできたらいいのに。


うずうずしていると横で彼は、



「さっきの写真、忘れてるみたいな感じだな」



と言った。


さっきの鋭い目つきをしたペンギンの写真を見て、うずうずしていた気持ちがなくなってしまった。



「ちょっ……。気分こわさないでよ!」



「ああ、そりゃ悪かった」



軽い気持ちで言っているような感じで、彼は言った。寺本は、満面の笑みだし、絶対反省してないはずだ。



「本当に悪かったと思ってるの?」



「俺が、適当だと思った?」



じとっとした目つきで睨んでも、彼はまだ笑っている。



「んもうっ!」



いらいらしたけれど、その後なぜか面白いという気持ちが芽生えてきて、つい笑ってしまった。