魚を持った飼育員さんのところへ、ペンギン達がぺたぺた歩いた。
「か、可愛いなぁー……」
こんなに可愛かったら駆け寄って、抱きしめたくなる。いっそペットにできたらいいのに。
うずうずしていると横で彼は、
「さっきの写真、忘れてるみたいな感じだな」
と言った。
さっきの鋭い目つきをしたペンギンの写真を見て、うずうずしていた気持ちがなくなってしまった。
「ちょっ……。気分こわさないでよ!」
「ああ、そりゃ悪かった」
軽い気持ちで言っているような感じで、彼は言った。寺本は、満面の笑みだし、絶対反省してないはずだ。
「本当に悪かったと思ってるの?」
「俺が、適当だと思った?」
じとっとした目つきで睨んでも、彼はまだ笑っている。
「んもうっ!」
いらいらしたけれど、その後なぜか面白いという気持ちが芽生えてきて、つい笑ってしまった。



