係の人が、パンフレットを渡してきたので、彼がそれを受け取った。
「じゃあ、何から見る?」
「そうだね、ここから近い場所だと、何があるかな」
「近い場所……。1番だと、クラゲらしいぞ」
パンフレットにある地図を見てから、寺本が言った。
「あっ、じゃあ近い順にクラゲから見てみない?」
「そうだな、クラゲはこっちみたいだな」
地図を見ながら、彼は進んでいく。
「おお、本当だ。クラゲがいる」
水槽の中で、ふわふわと泳いでいるクラゲ。空で雲が踊っているみたいだ。
「次は、熱帯魚」
「わー、ネオンテトラ綺麗ー」
ネオンテトラは、メタリックブルーの色をしている熱帯魚。水槽の中だと、ネオンテトラの綺麗な青がよく目立っている。
他にもエンゼルフィッシュやフエダイなどが、水族館を彩っていた。
「おい、増山!」
不意に怒声を帯びた声が耳に入り、わたしは脇腹を横から小突かれていた。
「ひゃいっ!?」
「何、ぼーっとしてるんだよ。行くぞ」
「はい、行きます!」
ロボットのように返事をしながら、わたしはぎこちなく歩いた。



