お前がいる場所が、好き。Ⅰ


係の人が、パンフレットを渡してきたので、彼がそれを受け取った。



「じゃあ、何から見る?」



「そうだね、ここから近い場所だと、何があるかな」



「近い場所……。1番だと、クラゲらしいぞ」



パンフレットにある地図を見てから、寺本が言った。



「あっ、じゃあ近い順にクラゲから見てみない?」



「そうだな、クラゲはこっちみたいだな」



地図を見ながら、彼は進んでいく。



「おお、本当だ。クラゲがいる」



水槽の中で、ふわふわと泳いでいるクラゲ。空で雲が踊っているみたいだ。



「次は、熱帯魚」



「わー、ネオンテトラ綺麗ー」



ネオンテトラは、メタリックブルーの色をしている熱帯魚。水槽の中だと、ネオンテトラの綺麗な青がよく目立っている。


他にもエンゼルフィッシュやフエダイなどが、水族館を彩っていた。



「おい、増山!」



不意に怒声を帯びた声が耳に入り、わたしは脇腹を横から小突かれていた。



「ひゃいっ!?」



「何、ぼーっとしてるんだよ。行くぞ」



「はい、行きます!」



ロボットのように返事をしながら、わたしはぎこちなく歩いた。