月夜でキミは

「は、はいーー。そうです。」
何とか、声を絞り出して答える。 

「そうかーー。お主、名はなんという?」

名前ーーー。

「境 華乃です。」

「サカイーーーー。」

私の言葉に会場内がざわつく。
「サカイってあのーーー!?」
「サカイだってさーー。」
「サカイだとーー!?」

そんな声で会場は一気にざわめき度を増していく。

「えぇい。静かにせんか。」


そう、椎名くんのお父さんらしき人が言うと、また会場が静まる。

「そうかーーー。」


「ところで、翔。境殿の血は吸ったのか?」

血を吸うーーーー。私のーーーー。

その言葉にあからさまに私の体はビクリ、となってしまう。

と思ったら、優しい手が腰にまわされたー。そう、椎名くんの。


「まだです。この環境に慣れさせないといけないのでーーーー。時期に。」

「そうかーーー。ところで、境殿。」

「は、はいっ!......」

「自己紹介をしとらんかったな。わしの名は、椎名 健二郎。翔の父親代わりのじいさんじゃよ。」

確かに、椎名君の、お父さんにしては年がちょっと、行き過ぎているようなーーー。と思ってたけれどお祖父様なら、納得だね。
少し、その優しげな口調にホッとした。

「えっと、私は境 華乃です。趣味は、ピアノと読書です。人間界では、吹奏楽部に入っています。」


「音楽かーーー。ほぉ。そうだ、境殿。もし血を吸われるとしたら誰が良いかの?ほら、そこにいる守か、空か、翔かーーーー。信頼できる相手が、いいじゃろ?」

血を吸われるー。その時、一番安心できる人はやっぱりーーーーー。

「えっと、椎名君でお願いします。」

「そうか。分かった。それじゃあ、翔。その子はお前に任せた。大事にするんじゃぞ。」

「はいーーー。命に変えても。」


命に変えてもーー。その言葉に少しドキッとする。

「それでのう。ずっと聞きたかったのじゃがーー。2人は、お付き合いを、しているのかな?」

健二郎さんが、いたずらっ子のように目を細めて聞いてくる。