月夜が空を飛ぶ私を照らしている。私の名前は、ラミア。何十年と生きている吸血鬼だ。

私は、今日も森の奥にある私の館を飛び出して空を飛んでいた。私は森の近くにある木の枝に止まると、背中に生えている羽を隠した。

これが普段の私の姿だ。羽が邪魔で動きにくいから、普段から羽を隠した状態でいる。

今日も恨みを持つ霊を探して街を歩く。私は、その霊の恨みを晴らす手伝いをしていた。

街を歩いていると、1人の女の子が泣いている。1発で恨みを持っている霊と分かった私は、女の子に近づき声をかけた。

「どうしたの？何か、恨みを感じるんだけど…」

「お姉さんは、誰ですか？」

女の子は、私を見ながら首を傾げる。私は「私は、吸血鬼のラミア。霊の恨みを晴らすお手伝いをしているんだ」と作り笑いを浮かべた。

私が恨みを晴らす手伝いをしているのは、ただの暇つぶしと汚い人間の制裁をするのが好きだからだ。

「そっか…実は、私には彼氏がいたんだけど――」

女の子は、泣きながら全てを話してくれた。その話をまとめると――

この子、未来(みらい)には愛していた彼氏、涼也(りょうや)がいた。しかし、涼也はある日を境に未来をいじめ始めたらしい。それに耐え切れなくなった未来は、自ら命を絶ったそう。

「その子に復讐したい？」

私が問いかけると、未来は「復讐したい！」とうなずいた。

「じゃあ、私に着いておいで」

未来にそう促すと、館に向かって歩き始めた。