『・・・・【息吹(アビ・リクォト)】を、あやつから取り返してまいりましょうか?』
『いや・・・・白銀の森にはもう一人守護者がいるはず、やがて、何らかの形でアノストラールの封を解くだろう・・・・その時にでも、使い魔を赴かせよ・・・ツァルダム、そなたの操る使い魔をな・・・・・』
凛々しい唇で、なにやら思惑有り気に小さく微笑うと、ゼラキエルは、その冷淡で美しい緑玉の両眼を煌(きらめ)く諸刃のように閃かせたのだった。
『御意』
そんな主君にツァルダムは短く答えると、虚空から出現した黒炎の最中へと深い紫色のローブを翻し、緩やかその姿を消して行ったのである。
ゼラキエルは、黒衣の裾を棚引かせ、再び、ゆっくりと暗黒を望む宮殿の窓の方を向いたのだった。
冷酷に細められる、燃えるような緑の鮮やかな両眼。
その瞳の奥に宿る邪な野望と非道さが、にわかに鋭利に輝いたようだった。
彼が纏う黒衣の背中に、闇の結界に轟いた雷光が、研ぎ澄まされた鋭利な切っ先の残光を映し出しては消えていく。
そんな彼の背後に、ふと、誰かが近づいてくる気配がした。
『ツァルダムは、【息吹(アビ・リクォト)】を奪い損ねたようですのね?ラグナ?』
どこか不快そうに響く若い女性の声が、魔王と呼ばれる青年の名を、実に親し気に呼んだ。
その声の主が誰であるか、ゼラキエルには、振り返らずともわかっている。
冷淡に閃く緑玉の眼差しがちらりと黒衣の肩越しに、背後に足音も無く立った、深い青のドレスを纏う美麗で妖艶なその女性を見た。
『レイノーラ?聞いていたのか?』
ゼラキエルの低い声が彼女の名を呼んだ。
かつて彼の妻となるはずだった、レイノーラと言う名のその女性は、黒い髪をしなやかな指先でかきあげて、片手で彼の衣の腕をゆるやかに掴んだのである。
『いや・・・・白銀の森にはもう一人守護者がいるはず、やがて、何らかの形でアノストラールの封を解くだろう・・・・その時にでも、使い魔を赴かせよ・・・ツァルダム、そなたの操る使い魔をな・・・・・』
凛々しい唇で、なにやら思惑有り気に小さく微笑うと、ゼラキエルは、その冷淡で美しい緑玉の両眼を煌(きらめ)く諸刃のように閃かせたのだった。
『御意』
そんな主君にツァルダムは短く答えると、虚空から出現した黒炎の最中へと深い紫色のローブを翻し、緩やかその姿を消して行ったのである。
ゼラキエルは、黒衣の裾を棚引かせ、再び、ゆっくりと暗黒を望む宮殿の窓の方を向いたのだった。
冷酷に細められる、燃えるような緑の鮮やかな両眼。
その瞳の奥に宿る邪な野望と非道さが、にわかに鋭利に輝いたようだった。
彼が纏う黒衣の背中に、闇の結界に轟いた雷光が、研ぎ澄まされた鋭利な切っ先の残光を映し出しては消えていく。
そんな彼の背後に、ふと、誰かが近づいてくる気配がした。
『ツァルダムは、【息吹(アビ・リクォト)】を奪い損ねたようですのね?ラグナ?』
どこか不快そうに響く若い女性の声が、魔王と呼ばれる青年の名を、実に親し気に呼んだ。
その声の主が誰であるか、ゼラキエルには、振り返らずともわかっている。
冷淡に閃く緑玉の眼差しがちらりと黒衣の肩越しに、背後に足音も無く立った、深い青のドレスを纏う美麗で妖艶なその女性を見た。
『レイノーラ?聞いていたのか?』
ゼラキエルの低い声が彼女の名を呼んだ。
かつて彼の妻となるはずだった、レイノーラと言う名のその女性は、黒い髪をしなやかな指先でかきあげて、片手で彼の衣の腕をゆるやかに掴んだのである。


