ジェスターの持つ緑玉の視線が、不意に、遠く霞む山脈カルダタスの方へ向いた。
「・・・・あいつが、居る・・・・・」
独り言のようにそう呟いたジェスターの凛々しく端正な顔を、怪訝そうな顔つきでリーヤが見る。
「何を言っているのです?貴方は?」
「・・・古い知り合いが近くにいる」
「スターレットですか!?」
「いや・・・・これは、スターレットのあの気障な気配じゃなく、白銀の守護騎士の気配だ」
彼は、そう答えて言うと、凛とした唇でどこか愉快そうに、しかしどこか穏やかに小さく微笑ったのだった。
遠く霞むカルダタスの蒼い峰の方向から、風の精霊が伝え来る懐かしいその気配。
「・・・アラン・・・何んで、お前が、アーシェの名を捨てなければならないんだ?」
幼少を過ごしたエトワーム・オリアの地で、その美しい山々を背景に、流暢なリタ・メタリカ語でそう言って、怒ったように輝いた紫水晶の右目。
その傍らで、共に幼少期を越えたばかりのまだ幼い少年であったスターレットが、彼を制するかのように、静かにその肩に手を置いた。
「・・・・いたたまれないんだろ?このまま、その名を名乗ることが?・・・ね?
アランデューク?」
どこか切なそうに、ジェスターに向かってそう言ったスターレットの傍らで、彼は何故かやけに悔しそうな顔をしていた。
傭兵や賞金稼ぎを生業(なりわい)とする渡り剣士として大陸の国々を共に歩いたその人物は、ある時、大怪我を負ってふと迷い込んだ伝説の森で、その森の守護者となり・・・・
その直後、ジェスターは妖の剣とも神の剣とも呼ばれる魔剣の主となった・・・
騎馬の手綱を取ったまま、ふと、遠い目をして虚空を見たジェスターの端正な横顔を、僅かばかり驚いたような顔をしてリーヤが覗き込んだ。
騎馬の疾走に合わせて、緩やかに弾む紺碧色の前髪の下で、実に意外そうに、髪の色と同じその大きな紺碧色の瞳をきょとんと丸くして、リタ・メタリカの姫君は言うのである。
「・・・・あいつが、居る・・・・・」
独り言のようにそう呟いたジェスターの凛々しく端正な顔を、怪訝そうな顔つきでリーヤが見る。
「何を言っているのです?貴方は?」
「・・・古い知り合いが近くにいる」
「スターレットですか!?」
「いや・・・・これは、スターレットのあの気障な気配じゃなく、白銀の守護騎士の気配だ」
彼は、そう答えて言うと、凛とした唇でどこか愉快そうに、しかしどこか穏やかに小さく微笑ったのだった。
遠く霞むカルダタスの蒼い峰の方向から、風の精霊が伝え来る懐かしいその気配。
「・・・アラン・・・何んで、お前が、アーシェの名を捨てなければならないんだ?」
幼少を過ごしたエトワーム・オリアの地で、その美しい山々を背景に、流暢なリタ・メタリカ語でそう言って、怒ったように輝いた紫水晶の右目。
その傍らで、共に幼少期を越えたばかりのまだ幼い少年であったスターレットが、彼を制するかのように、静かにその肩に手を置いた。
「・・・・いたたまれないんだろ?このまま、その名を名乗ることが?・・・ね?
アランデューク?」
どこか切なそうに、ジェスターに向かってそう言ったスターレットの傍らで、彼は何故かやけに悔しそうな顔をしていた。
傭兵や賞金稼ぎを生業(なりわい)とする渡り剣士として大陸の国々を共に歩いたその人物は、ある時、大怪我を負ってふと迷い込んだ伝説の森で、その森の守護者となり・・・・
その直後、ジェスターは妖の剣とも神の剣とも呼ばれる魔剣の主となった・・・
騎馬の手綱を取ったまま、ふと、遠い目をして虚空を見たジェスターの端正な横顔を、僅かばかり驚いたような顔をしてリーヤが覗き込んだ。
騎馬の疾走に合わせて、緩やかに弾む紺碧色の前髪の下で、実に意外そうに、髪の色と同じその大きな紺碧色の瞳をきょとんと丸くして、リタ・メタリカの姫君は言うのである。


