彼女の眼前で、吹き付ける風に翻る純白のマントと、艶やかな長い黒髪。
本来なら、穏やかな印象を与える端正に整ったシルバの顔が、戦人(いくさびと)の装いで鋭利に歪んでいる。
鋭い輝きを宿す紫水晶の隻眼が、彼女の秀麗な顔を見つめすえた。
「何故、俺を狙った?女は斬らない主義だ、答えてもらおうか?」
艶のある低い声が紡ぎ出したのは、大リタ・メタリカ王国の隣国、フレドリック・ルード連合王国の言語であった。
本来、生粋のリタ・メタリカ人に黒い髪を持つ者はいない。
黒い髪を持つ者は、遥か東方の大国斯那留(シナル)国を母国とする者か、フレドリック・ルード連合王国を母国とする者か、もしくは・・・闇の者であるか。
藍に輝く彼女の黒髪を見て、彼は、あえてその言語を母国である国の言葉に換えたのであろう。
シルバ自身も、本来はリタ・メタリカの民ではないのだ。
そんなシルバの鋭い紫水晶の右目を睨むように見て、彼女、青珠の森の守護者レダ・アイリアスは、秀麗な顔をやけに悔しそうに歪めたのである。
緑の木々を揺らして、冷たい風が深い森を駆け抜けていく。
差し伸ばされた透明な風の両手が、ふわりと、レダの前髪を持ち上げた。
その瞬間、シルバは何かに気が付いたように、純白のマントを羽織る広い肩を揺らしたのである。
レダの額に刻まれた、星型に開く青い撫子の紋章は、青珠の森の守り手を示す、華の紋章に相違ない。
シルバは、ゆっくりと剣の切っ先を下ろして地面に向けた。
「・・・青珠の森の・・・・守り手?」
同時に、青玉の弓を構えたままでいるレダも、シルバとはまた違う意味わいで、何かに気が付いたように、その肩を揺らしたのである。
黒髪と、紫色の隻眼・・・・・
レダの脳裏に急速に蘇ってくる、まだ少女であった頃の悲しい記憶の断片に、彼と同じ容姿を持つ一人の少年の姿があった。
本来なら、穏やかな印象を与える端正に整ったシルバの顔が、戦人(いくさびと)の装いで鋭利に歪んでいる。
鋭い輝きを宿す紫水晶の隻眼が、彼女の秀麗な顔を見つめすえた。
「何故、俺を狙った?女は斬らない主義だ、答えてもらおうか?」
艶のある低い声が紡ぎ出したのは、大リタ・メタリカ王国の隣国、フレドリック・ルード連合王国の言語であった。
本来、生粋のリタ・メタリカ人に黒い髪を持つ者はいない。
黒い髪を持つ者は、遥か東方の大国斯那留(シナル)国を母国とする者か、フレドリック・ルード連合王国を母国とする者か、もしくは・・・闇の者であるか。
藍に輝く彼女の黒髪を見て、彼は、あえてその言語を母国である国の言葉に換えたのであろう。
シルバ自身も、本来はリタ・メタリカの民ではないのだ。
そんなシルバの鋭い紫水晶の右目を睨むように見て、彼女、青珠の森の守護者レダ・アイリアスは、秀麗な顔をやけに悔しそうに歪めたのである。
緑の木々を揺らして、冷たい風が深い森を駆け抜けていく。
差し伸ばされた透明な風の両手が、ふわりと、レダの前髪を持ち上げた。
その瞬間、シルバは何かに気が付いたように、純白のマントを羽織る広い肩を揺らしたのである。
レダの額に刻まれた、星型に開く青い撫子の紋章は、青珠の森の守り手を示す、華の紋章に相違ない。
シルバは、ゆっくりと剣の切っ先を下ろして地面に向けた。
「・・・青珠の森の・・・・守り手?」
同時に、青玉の弓を構えたままでいるレダも、シルバとはまた違う意味わいで、何かに気が付いたように、その肩を揺らしたのである。
黒髪と、紫色の隻眼・・・・・
レダの脳裏に急速に蘇ってくる、まだ少女であった頃の悲しい記憶の断片に、彼と同じ容姿を持つ一人の少年の姿があった。


