ゆっくりと瞳を開いた時、そこには、もう彼女の姿はない。
ジェスターは、利き手に持った金色の大剣を背中の鞘に収めると、血染めの衣の裾を翻し、ゆるやかに背後を振り返った。
「ジェスター・・・・」
紺碧色の長い巻髪を風に揺らし、切なそうな表情をしたリーヤが、未だがくがくと肩を震わせているへディートを抱きかかえるようにして、そこに立っていた。
ジェスターは、鋭くも、しかし、その中にどこか悲哀を宿した冷静な表情をして、ゆっくりとそんな二人の眼前に歩み寄っていく。
「どうして・・・・どうして・・・・どうして姉さんは・・・・」
イリーネによく似たへディートの茶色の瞳が一杯の涙を浮かべて、その眼前に立った、ジェスターの凛々しく端正な顔を真っ直ぐに見つめすえた。
恐怖と、戸惑いと、悲しみと、そして怒りが入り混じる彼女の眼差しが、彼の心を突き通すように留まっている。
燃え盛る炎の如き緑玉の瞳を僅かに細めて、ジェスターは、身動ぎもせずに、ただ、氷の刃のようなヘディートのその視線を受け止めていた。
「どうして・・・どうして姉さんを殺したの!?どうして!?どうしてよ!!
ずっと待ってたのに!!ずっとずっと、待ってたのに!!」
思い余ってそう叫んだヘディートが、鮮血に塗(まみ)れた彼の衣を両手で掴んだ。
その胸にあるはずの深い傷は、既に消え失せ、代わりに、裂けた衣の合間に見える素肌の左胸に、赤く輝く炎の獅子の紋章が浮かび上がっている。
ジェスターは、利き手に持った金色の大剣を背中の鞘に収めると、血染めの衣の裾を翻し、ゆるやかに背後を振り返った。
「ジェスター・・・・」
紺碧色の長い巻髪を風に揺らし、切なそうな表情をしたリーヤが、未だがくがくと肩を震わせているへディートを抱きかかえるようにして、そこに立っていた。
ジェスターは、鋭くも、しかし、その中にどこか悲哀を宿した冷静な表情をして、ゆっくりとそんな二人の眼前に歩み寄っていく。
「どうして・・・・どうして・・・・どうして姉さんは・・・・」
イリーネによく似たへディートの茶色の瞳が一杯の涙を浮かべて、その眼前に立った、ジェスターの凛々しく端正な顔を真っ直ぐに見つめすえた。
恐怖と、戸惑いと、悲しみと、そして怒りが入り混じる彼女の眼差しが、彼の心を突き通すように留まっている。
燃え盛る炎の如き緑玉の瞳を僅かに細めて、ジェスターは、身動ぎもせずに、ただ、氷の刃のようなヘディートのその視線を受け止めていた。
「どうして・・・どうして姉さんを殺したの!?どうして!?どうしてよ!!
ずっと待ってたのに!!ずっとずっと、待ってたのに!!」
思い余ってそう叫んだヘディートが、鮮血に塗(まみ)れた彼の衣を両手で掴んだ。
その胸にあるはずの深い傷は、既に消え失せ、代わりに、裂けた衣の合間に見える素肌の左胸に、赤く輝く炎の獅子の紋章が浮かび上がっている。


