肩に羽織る緋色のマントを殺気立つ虚空に棚引かせ、尚も、剣を握り直すリーヤを見て、宙を舞うイリーネが性悪(しょうあく)な表情で嘲笑った。
「リタ・メタリカの姫とて、魔力すら持たぬ貴女が私を斬れるとでも!?」
ざんっと鋭い音が轟き、黒い炎がイリーネの周囲を取り囲むと、それは無数の黒き刃となって、虚空を引き裂きながら一気にリーヤへ向けて解き放たれたのである。
「あぁ!?」
リーヤの紺碧色の両眼が、大きく見開かれた。
緋色のマントを棚引かせ、素早く後方に飛び退くが、いかんせん、空を切る黒い刃の数が多すぎる。
両腕でその身をかばうが、降り落ちる流星の如く豪速でまかり来る黒き刃は、紺碧色の髪を結い上げた金の髪留めを弾き飛ばし、綺麗なその頬に薄い傷を刻むと、肩を薙ぎ払い、しなやかな足までに鋭利な傷跡を残して、そのまま、彼女の首へと到達せんとした。
艶やかな長い紺碧の巻髪が乱舞する。
苦痛に秀麗な顔を歪めながら、尚も強く凛として立つリーヤであったが、一瞬、死をも覚悟した・・・・
その時である。
突然、ゆらりと、彼女の眼前に深紅の炎が立ち昇り、次の瞬間、煌々と燃え盛る紅炎を撒き散らし、豪速で飛来した火蜥蜴(ひとかげ)の影が、彼女の命を奪わんとした無数の黒き刃を、その灼熱の炎で一瞬にして焼き尽くしたのである。
「!?」
リーヤは、ハッと肩を揺らして、火蜥蝪が現れてき来た方向に、その紺碧色の瞳を素早く向けた。
禍々しくも神々しい金色(こんじき)の大剣を構え、揺らめき立つ炎のような黄金のオーラを、野を掛ける獣のように引き締まった肢体に纏いながら、鋭い表情でそこに立っていたのは、他でもない、あの異形の瞳の魔法剣士ジェスター・ディグであったのだ。
「・・・・まさか、おまえが魔に落ちるとはな・・・・」
凛々しく端正な顔を、鋭く厳(いかめ)しい面持ちに満たし、立ち昇る黄金のオーラと共に揺らめく見事な栗毛の下から、燃え盛る火炎の如き鮮やかな異形の緑の眼差しが、醜い魔物へと変わり果てた、かつての想い人を睨みつけるように見つめている。
しかし、既に正気を失っているイリーネの禍々しい赤い瞳は、彼の姿を見るなり、何故か嬉々として輝いたのだった。
「リタ・メタリカの姫とて、魔力すら持たぬ貴女が私を斬れるとでも!?」
ざんっと鋭い音が轟き、黒い炎がイリーネの周囲を取り囲むと、それは無数の黒き刃となって、虚空を引き裂きながら一気にリーヤへ向けて解き放たれたのである。
「あぁ!?」
リーヤの紺碧色の両眼が、大きく見開かれた。
緋色のマントを棚引かせ、素早く後方に飛び退くが、いかんせん、空を切る黒い刃の数が多すぎる。
両腕でその身をかばうが、降り落ちる流星の如く豪速でまかり来る黒き刃は、紺碧色の髪を結い上げた金の髪留めを弾き飛ばし、綺麗なその頬に薄い傷を刻むと、肩を薙ぎ払い、しなやかな足までに鋭利な傷跡を残して、そのまま、彼女の首へと到達せんとした。
艶やかな長い紺碧の巻髪が乱舞する。
苦痛に秀麗な顔を歪めながら、尚も強く凛として立つリーヤであったが、一瞬、死をも覚悟した・・・・
その時である。
突然、ゆらりと、彼女の眼前に深紅の炎が立ち昇り、次の瞬間、煌々と燃え盛る紅炎を撒き散らし、豪速で飛来した火蜥蜴(ひとかげ)の影が、彼女の命を奪わんとした無数の黒き刃を、その灼熱の炎で一瞬にして焼き尽くしたのである。
「!?」
リーヤは、ハッと肩を揺らして、火蜥蝪が現れてき来た方向に、その紺碧色の瞳を素早く向けた。
禍々しくも神々しい金色(こんじき)の大剣を構え、揺らめき立つ炎のような黄金のオーラを、野を掛ける獣のように引き締まった肢体に纏いながら、鋭い表情でそこに立っていたのは、他でもない、あの異形の瞳の魔法剣士ジェスター・ディグであったのだ。
「・・・・まさか、おまえが魔に落ちるとはな・・・・」
凛々しく端正な顔を、鋭く厳(いかめ)しい面持ちに満たし、立ち昇る黄金のオーラと共に揺らめく見事な栗毛の下から、燃え盛る火炎の如き鮮やかな異形の緑の眼差しが、醜い魔物へと変わり果てた、かつての想い人を睨みつけるように見つめている。
しかし、既に正気を失っているイリーネの禍々しい赤い瞳は、彼の姿を見るなり、何故か嬉々として輝いたのだった。


