あれから、どのぐらいの月日が流れたのだろう・・・・
もう、七年近くになるであろうか・・・・
憂いを含んだ茶色の眼差しが見つめる先には、あの時よりもたくましくなった、彼の広い背中がある。
月明かりを散らす夜風に浚われる、長い琥珀の髪を片手で押さえて、彼女、ローディ一家の花形である美しい踊り子、イリーネ・アデルは、紅の塗られた綺麗な唇で彼の真実の名を呼んだのだった。
「アランデューク・・・・」
「その名で俺を呼ぶな・・・・あの時も、そう言ったはずだ・・・・その名は、棄てた・・・・・」
低めた声でそう言うと、彼、妖剣アクトレイドスを携える魔法剣士ジェスター・ディグは、その燃えるような鮮やかな緑玉の瞳を鋭利に細めて、静まりかえる森の木々と夜空の薄い月を背景にゆっくりと、背後に佇むイリーネを振り返った。
すらりとした長身に纏われた朱の衣の長い裾が、音も無く夜風に翻っている。
薄い月影が照らし出す、若獅子の鬣(たてがみ)のような見事な栗毛の髪が、その光の断片を纏い金色に輝いていた。
イリーネは、蛾美な眉を切なそうに眉間に寄せると、うつむき加減になって、消え入りそうなか細い声で言うのである。
「ごめんなさい・・・・そうだったわね・・・・」
「・・・・・・・」
「ずっと・・・探していたのよ・・・・・・どうして、何も言わずに、居なくなったりしたの?」
あの日より、ずっと大人びて凛々しい顔つきになった遠い日の想い人を、少し遠慮がちな眼差しで見つめながら、イリーネは、両手で自分の体を抱きしめた。
そんな彼女を、冷静で真っ直ぐな視線で顧みて、夜風に揺られ精悍な頬にかかる髪を気にすることも無く、ジェスターは、低めた声で言うのである。
もう、七年近くになるであろうか・・・・
憂いを含んだ茶色の眼差しが見つめる先には、あの時よりもたくましくなった、彼の広い背中がある。
月明かりを散らす夜風に浚われる、長い琥珀の髪を片手で押さえて、彼女、ローディ一家の花形である美しい踊り子、イリーネ・アデルは、紅の塗られた綺麗な唇で彼の真実の名を呼んだのだった。
「アランデューク・・・・」
「その名で俺を呼ぶな・・・・あの時も、そう言ったはずだ・・・・その名は、棄てた・・・・・」
低めた声でそう言うと、彼、妖剣アクトレイドスを携える魔法剣士ジェスター・ディグは、その燃えるような鮮やかな緑玉の瞳を鋭利に細めて、静まりかえる森の木々と夜空の薄い月を背景にゆっくりと、背後に佇むイリーネを振り返った。
すらりとした長身に纏われた朱の衣の長い裾が、音も無く夜風に翻っている。
薄い月影が照らし出す、若獅子の鬣(たてがみ)のような見事な栗毛の髪が、その光の断片を纏い金色に輝いていた。
イリーネは、蛾美な眉を切なそうに眉間に寄せると、うつむき加減になって、消え入りそうなか細い声で言うのである。
「ごめんなさい・・・・そうだったわね・・・・」
「・・・・・・・」
「ずっと・・・探していたのよ・・・・・・どうして、何も言わずに、居なくなったりしたの?」
あの日より、ずっと大人びて凛々しい顔つきになった遠い日の想い人を、少し遠慮がちな眼差しで見つめながら、イリーネは、両手で自分の体を抱きしめた。
そんな彼女を、冷静で真っ直ぐな視線で顧みて、夜風に揺られ精悍な頬にかかる髪を気にすることも無く、ジェスターは、低めた声で言うのである。


