思わず、面食らった表情をする彼の腕が、訳もわからず、そのカモシカのような柔軟な肢体を抱き止めた。
「・・・・・!?」
次の瞬間、全く身構えていなかったジェスターの体が、彼女が飛び込んできた衝撃で平衡を崩し、そのまま後方へと倒れ込んだのである。
彼女の体を抱き止めたまま、咄嗟に片腕を地面に付いて、ジェスターは、怪訝そうな眼差しで、実に嬉しそうな踊り子の嬉々とした顔を見た。
彼女は、そんな彼の体にのしかかるようにして、飛び切りの笑顔で言うのだった。
「アラン!やっぱりそうだ!貴方、アランデュークでしょ!?
私よ!へディートよ!へディート・アデルよ!」
形の良い眉を眉間に寄せたまま、その聞き覚えのある名前を記憶の糸から手繰り寄せると、何かに気付いたように、ジェスターは、小さく肩を震わせたのである。
呟くように、彼は言う。
「へディート・・・・ローディ一家の、へディート?」
「そうよ!姉さんも一緒よ!姉さん、ずっと貴方を待っていたのよ!!
こんな所で会えるなんて!!」
嬉々としながらそう言って、遠慮もせずその胸に頬を埋(うずめ)る彼女の体を、ジェスターは、渋い顔つきをしてゆっくりと自分の元から離したのだった。
広い肩で一度小さくため息をつくと、彼は、静かにその場に立ち上がる。
地面に座り込んだまま、相変わらず嬉々としたへディートの茶色の眼差しが、彼の長身をにこやかに仰ぎ見た。
そんな二人の様子を、リーヤは、細くしなやかな腰に手を置いた姿勢で、何やら、どこか怒ったようなどこか不審そうな、実に難しい表情で眺め遣っている。
夕闇の風が、街道を囲む森の木々をざわめかせながら暗がりの空に消えた時、幌馬車の方から、へディートに良く似た容姿を持つ、もう一人の若い女性が、ゆっくりと、こちらの方へ歩み寄って来たのだった。
すらりとした細身に纏われた、鮮やかな藍をしたリタ・メタリカの民族衣装が、夕暮れの風に音も無く揺れている。
「・・・・・!?」
次の瞬間、全く身構えていなかったジェスターの体が、彼女が飛び込んできた衝撃で平衡を崩し、そのまま後方へと倒れ込んだのである。
彼女の体を抱き止めたまま、咄嗟に片腕を地面に付いて、ジェスターは、怪訝そうな眼差しで、実に嬉しそうな踊り子の嬉々とした顔を見た。
彼女は、そんな彼の体にのしかかるようにして、飛び切りの笑顔で言うのだった。
「アラン!やっぱりそうだ!貴方、アランデュークでしょ!?
私よ!へディートよ!へディート・アデルよ!」
形の良い眉を眉間に寄せたまま、その聞き覚えのある名前を記憶の糸から手繰り寄せると、何かに気付いたように、ジェスターは、小さく肩を震わせたのである。
呟くように、彼は言う。
「へディート・・・・ローディ一家の、へディート?」
「そうよ!姉さんも一緒よ!姉さん、ずっと貴方を待っていたのよ!!
こんな所で会えるなんて!!」
嬉々としながらそう言って、遠慮もせずその胸に頬を埋(うずめ)る彼女の体を、ジェスターは、渋い顔つきをしてゆっくりと自分の元から離したのだった。
広い肩で一度小さくため息をつくと、彼は、静かにその場に立ち上がる。
地面に座り込んだまま、相変わらず嬉々としたへディートの茶色の眼差しが、彼の長身をにこやかに仰ぎ見た。
そんな二人の様子を、リーヤは、細くしなやかな腰に手を置いた姿勢で、何やら、どこか怒ったようなどこか不審そうな、実に難しい表情で眺め遣っている。
夕闇の風が、街道を囲む森の木々をざわめかせながら暗がりの空に消えた時、幌馬車の方から、へディートに良く似た容姿を持つ、もう一人の若い女性が、ゆっくりと、こちらの方へ歩み寄って来たのだった。
すらりとした細身に纏われた、鮮やかな藍をしたリタ・メタリカの民族衣装が、夕暮れの風に音も無く揺れている。


