「どういう意味ですか?」
「君だっていつまでも建築家の卵でいたいわけじゃないだろう?」
「まあ、そうですね」
少しでも早く一人前になって、自分の設計した建物を建てたい。
「いつまでも二足のわらじって訳にはいかないってことだ」
「分かってます」

今はまだ学生時代のローンが残っているし、会社のお給料だってそう多くはない。
だから、あと少しだけバイトを続けるつもり。

「分かっていればそれでいい」
それ以上社長は何も言わなかった。