初恋 ~頑張る女子と俺様上司の攻防戦~

「とにかく、仕事が終わったら家に来い」
「イヤです」
龍之介の家に行けば、また元の関係に戻ってしまう。


「つべこべ言ってると、このまま担いで持って帰るぞ」
あながち冗談でないところが恐ろしい。

「そんなことをすれば、警察を呼びます」
「『勝手に家出した俺の女を連れて帰って何が悪い』と言ってやるさ」
「そんな無茶な・・・」
「お前は俺を警察に突き出すことなんてできないだろう?」
「それは・・・」
確かにできない。
「いくらもがいても、未来は俺から離れられないんだ。おとなしく戻ってこい」
そっと手を重ね、優しい口調で言われると、

「龍之介」
私の心は揺れてしまった。