第21話「気づいた気持ち」




 ミツキの部屋は殺風景だった。
 元々倉庫だったこともあり、部屋自体は広いが、そこには木製のシンプルなテーブルと椅子、本棚にベットのみが置いてあるのみだった。
 物も少なく、本はエルハムがあげたもの、テーブルには勉強しているのであろう紙とペンが置いてある。
 窓の下には、彼が元の世界であるニホンから着てきた服と、木の剣「ボクトウ」が大切に置いてあった。


 「何にもない部屋で悪いな。」
 「ううん。なんか、ミツキらしいなって思って。」
 「そうか?……まぁいいか。」


 そう言うと、ミツキは本棚に置いてあった袋を取り出して、エルハムに差し出した。


 「………え?これなに?」
 「この間、怪我をした時にハンカチで手当てしてくれただろう。それのお返し。」
 「あ、あれは私が助けてもらったんだから………気にしなくていいのに……。」
 「俺が気にする。」


 そう言うと、ミツキはエルハムの手を取って、その手のひらの上に袋を置いた。
 そこまでされてしまうと断れる事も出来ず、ミツキからの突然の贈り物を受けとる事になった。

 
 「ありがとう。ミツキ。」
 「あの時は、驚かせて悪かったな。」
 「ううん。ミツキが守ってくれたから、私は無事だったんだよ。」


 エルハムはそう言い、ニッコリと微笑んで袋を大切に持った。
 中身がとても軽く、エルハムは何をプレゼントされたのか、気になりミツキに訪ねた。