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 「はぁー…………。」


 エルハムは大きくため息を溢した。

 ミツキがエルハムを避けてからというもの、2人の間にぎくしゃくとした妙な雰囲気が漂っており、エルハムは彼の顔を見て話すことができなくなってしまった。
 それでも、ミツキはしっかりと護衛をしてくれるし、ニホンゴも教えてくれている。

 エルハムも何とか普段通りに笑顔で変えそうとするけれど、ぎこちないものになっているのが自分でもよくわかっていた。


 「せっかく一緒に過ごす時間が増えて笑顔が増えたのになぁー………。」


 そもそも、何故あの時、ミツキに避けられてしまったのかがエルハムにはわからなかった。
 やはり、この間見た使用人の女の子と仲良くなり行為を持ち始めたから、エルハムに触れられるのを拒んだのだろうか。
 エルハムは、一人になるとこんな事ばかり考えていた。
 他に考えなければいけない問題は沢山あるというのに。エルハムは小さく頭を振って、公務の仕事を始めた。



 そんなある日。
 エルハムは気まずい思い抱きながらも、仕事の用事がありミツキの部屋に向かっていた。
 

 「落ち着いて、普段通りに接すればいいだけよ………。」