エルハムが驚き、セリムに答えを求めた。
 セリムは、何かを思い出して悲しんでいるような切ない瞳でエルハムを見つめながら、ただ一言はっきりと言葉を落とした。


 「チャロライト国の反対組織コメットだと思われます。」
 「………コメット………。」


 セリムの言葉を聞いた途端、エルハムは一瞬で体や思考が止まってしまった。
 鼓動が早くなり、体は冷たなったように感じ、目の前も真っ暗になった。
 ただ頭に浮かぼうとしているのは、思い出したくない過去だった。

 
 「セリム団長。コメットは今ほとんど動きがないはずでしたよね。」
 「あぁ………おまえにも以前話したことがあったな。中心に立っていた奴が捕まってはいたが、それでも考えが同じ人達はなかなかいなくならないからな。知らないうちに勢力を大きくしていたのだろう。」
 「そうなのですか。では、これから注意が必要ですね。」
 

 セリムとミツキが話しをしていると、突然ガタンッと何かが倒れる音がした。
 セリムとミツキは驚きその音の方を見ると、エルハムが倒れテーブルに支えられながら何とか立っていた。