「ミツキ。怪我は大丈夫なの?あんなに沢山血が出ていたのに………。」
 「心配をさせてしまい、申し訳なかったです。このように、大袈裟に覆われていますが、大したことはないです。」
 「………そう。とりあえず部屋に入って、立ったままでは疲れてしまうでしょ?」
 「ありがとうございます。」


 ミツキは、心配しすぎだという苦い顔をしながら微笑みながらも、部屋に入った。
 エルハムは、窓際のいつもの椅子に座るようにミツキを促し、エルハムもその隣の椅子に腰を下ろした。


 「姫様。アオレン王様との話はどうなりましたか?セイは何か話しましたか?」
 「えぇ。いろいろ話してくれたわ。」


 治療のためにセイの謁見に立ち会えなかった彼は、セイが話した事が気になっているのだろう。エルハムは、セイとアオレン王が話した事を出来る限り丁寧に伝えた。


 「なるほど……そんな事があったのですね。その黒い服の男達は何者なんでしょうか。」
 「そうね。あんな、残虐な事が出来てしまう人なんて……わからないわね。怖いわよね……。セイが今どうしているのか、心配だわ。きっと寂しさと恐怖でいっぱいよね。」
 「………姫様。」


 ミツキはそう呟くと、何故かエルハムの事を見つめていた。何も言わずに自分を真剣な表情で見るミツキに、エルハムは緊張してしまい顔が熱くなってしまった。