先程は沢山の事を教えてくれた彼だったが、何故か今になって、話しにくそうにエルハムをちらちらと見ていたり
 エルハムは不思議に思いながらも、彼の言葉待った。

 すると、意を決したミツキは、バッと顔を上げてエルハムの瞳を見つめた。
 

 「………どうしたの、ミツキ?」
 「……………………とぅ。」
 「え?」
 「だから、この間は助かった。……ありがとう。」
 

 小さな声でそう言うと、ミツキは顔を真っ赤にしてそっぽを向いてしまった。
 エルハムは一瞬ポカンとしてしまっが、エルハムがミツキを助けた事のお礼を言っているのがわかり、エルハムは嬉しくて自然と頬が緩んでしまった。
  自分が思った通り、彼はいい子なのだ、とわかった瞬間だった。


 「こちらこそ、専属護衛になってくれてありがとう。これから、よろしくね。」
 「守られてばっかりだったけど、契約した以上は、もう傷付けさせない。」


 まだ頬を染めた顔だったけれど、ミツキに真っ直ぐな視線と強い言葉で告げられると、エルハムは胸がドキリとするのを感じた。それがどんな意味なのか、エルハムにはわからなかったけれど、ミツキの言葉の重さを感じられた。


 「あなたに守ってもらえるのが相応しいと思われる姫になるように、私も頑張る。約束するわ。……じゃあ、約束を交わしましょう。」


 そう言うと、エルハムは両手をミツキに向けて大きく広げた。エルハムが何をやっているのか理解出来ないミツキは首をかしげながら、「これは何だ?」と言った。
 シトロン周辺の国では、約束をするときに行う事があった。それをミツキが知るわけもない。
 エルハムは、手を広げたまま彼に説明をした。