「最後の話は終わりましたか。……野蛮や日本人は、詭弁を弄するのも上手いですね。」
 「やはり、同じ世界から来た者だったか。」
 「日本人は戦争が好きでしょう?」
 「それは昔の話だ。俺が居た世界ではなかったさ。」
 「…………日本から来た記憶があるくせに何故真面目に働き、生きるのです?戦争好きな日本人ならわかると思ったんですけどね。人を殺してゲームをする楽しさを。」



 エルハムとミツキは、その言葉を聞いて唖然としてしまった。
 反政府組織に入り、人を殺していた男。
 その動機は、シトロンの国を手に入れたいというものではなかったのだ。
 楽しいゲームをするために、人を殺してきたのだ。
 
 セイの両親を殺し、セリムを傷つけ、エルハムの母も殺した。
 そんな組織のリーダー的存在が、そんな理由だっという事に驚き、そして怒りが汲み上げてきた。


 「………人を殺すのが楽しい………?そんな事、本気で言っているの?」
 「エルハム………。」
 「おかしいわ!そんなのゲームでも何でもないわ。」
 「刺激がないのはつまらないでしょう?非日常的な何かがあると、楽しいものでしょう?………先程のような快楽も、ね。」


 エルハムに向けられた言葉に、思わず体を震わせた。その様子を感じ取ったのか、ミツキは男から隠すように片手を伸ばして、男からの視線を止めた。


 「………わかったよ。おまえがそういう奴だと言う事が。同じ世界から来た者同士、話せばわかると思ったが。………それは無理のようだ。」
 「私も同意見です。」
 「話しは後で聞かせてもらう。」
 「………殺さないと言う事ですか。でも、私が殺してしまうかもしれませんけどね!!」


 そう言うと、男はすぐに魔法を発動させた。短剣の形をした鉄をいくつも出す。
 ミツキは、そのうちに何故か騎士団の上着を脱ぎ始めた。動きやすくするつもりなのかと、思ったが、ミツキはそれをミツキに投げつけたのだ。