続いて奥へ奥へと移動したけれど、同じように部屋毎に敵が数人いるだけで、エルハムはどこにもいなかった。
 2人は傷を負う事はなかったが、それでも体力は消耗していく。少し呼吸を荒げながら、セリムはミツキに声を掛けた。


 「この場所はどこまで奥に続いているのだ。きりがないな。」
 「だが隠し部屋などある気配はなかった。」
 「……では、まだ奥にいるという事だな。」


 2人は少し不安に思いながら、別々の方向を見た。

 この部屋には、ドアが3つあるのだ。
 1つはミツキ達が入ってきた物。そして、そこからまっすぐ行ったところに1つ。そして、右側にも1つあった。
 ここからは別れ道になっているのだ。

 ミツキとセリムは、同じ考えだった。
 それを口にしなくてもわかる。
 別々の道を進んだ方が効率がいいが、危険も多くなる。けれど、一刻も早くエルハムを見つけるとなると、ここで別れて進むしかないのだ。

 セリムが右、ミツキがまっすぐの道に進む道を選んだ。
 けれど、そのドアを開ける前に異変に気づいた。この部屋に向かって走る音が地鳴りのように遠くから少しずつ近づいてきていたのだ。


 「………これは………。」
 「やられた。囲まれたな。」


 ミツキがため息をつくと同時に3つのドアが開いた。
 すると、一斉に黒い服の男達がミツキ達が居た部屋に入ってきたのだ。
 それぞれに武器を持っている。


 「さて、今までで1番敵の数が多いな。」
 「………ミツキ。おまえが向かおうとしていたドアから出てきたコメット達を見ろ。」