「お姫様はやはり賢いです。そうやって、だまっていればいい。」


 そう言うと、その男はエルハムが横になっている小さなベットに乗り、そのままエルハムの体を包むように覆った。
 自分は抱きしめられている。そんな感覚に、エルハムは「何かの約束を交わすのだろうか。」と思った。
 大切な約束をするとき、エルハムは大切な人達といつもそうしてきた。
 大切な人達………それは誰だった?この男だろうか………。

 金髪の男の手がエルハムの首筋をなぞる。くすぐったくて体をビクッとさせる。その反応が楽しいのか、男は何度も繰り返した後、エルハムの耳や頬を撫でた。
 くすぐったい感じと、体の中が少しずつ熱くなるのを感じる。いつの間にか、目はうるうると熱を含んだものになっていた。


 「いいですね……その表情。拒まれながらするのも楽しいが、あなたはその恍惚な表情がよく似合う。」


 そう言うと、その男はエルハムの体に顔を近づけながら、ゆっくりとエルハムの服を脱がせて行った。ボタンを外し、露出した肌に男の冷たい指が触れ、エルハムは体が震えた。
 自分の肌がじっとりとした空気と、男の視線にさらされて、エルハムは身を捩る。
 人前でそのそんな姿を晒した事などないため、エルハムは朦朧とした頭でも恥ずかしさを微かに感じていた。
 
 顔を赤くして頬を染めるエルハムの姿を見て、男はニヤリと笑うと、首筋に唇を落とした。