「……………セリム………!」
そこに居たのは金髪のセリムと、数人の騎士団だった。
ミツキの腕を掴んでいたセリムは、呆れて表情でミツキを見つめていた。
「何も考えないで突っ込もうとするなんて、本当におまえは愚かだな。」
「………どうして、おまえがここに居る。作戦会議とやらをするんじゃなかったのか?」
「………そのつもりだったさ。だが………。」
セリムは乱暴にミツキの腕を離すと、ばつが悪そうに視線を逸らした。
「セイが、おまえと一緒に行ってほしいと何度も頼まれた。………仕方がなく他の物に騎士団の指揮を巻かせて先に来ただけだ。おまえが隠れ家をめちゃくちゃにして、騎士団が突入した時に迷惑がかからないように見ていなければいけないしな。」
「そうか。助かった………。」
「…………。」
人手が欲しかったのは事実で、自分一人では難しいこともわかっていた。
だからこそ、味方がいるのは本当に心強かった。
素直に感謝の言葉を伝えたのが信じられなかったのか、セリムは心底驚いた顔を見せていた。
「……なんだよ。本当の事だろ。」
「何も言ってない。」
「………顔見ればわかる。」
ミツキが少し恥ずかしくなり、顔をそらすと、その瞬間。セリムの雰囲気が柔らかくなるのを感じた。彼に視線を戻すと、いつもミツキに向ける仏頂面に戻っていた。けれど、きっとあの感覚は気のせいではないと、ミツキは思った。