第42話「晴れた疑い」




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 「どういう事だ!エルハム様をどこに隠した!」
 
 ミツキがいた牢に大声が響いた。
 セリムが激怒し、綺麗な顔を歪めてミツキを睨み付けている。
 その横には、アオレン王と数人の騎士団員が居た。1名を除きほぼ全員が不安げにミツキを見つめている。
 彼らはまだ、ミツキを密偵だと疑っているのだ。唯一、アオレン王だけが何か考え込んだ表情をしていた。


 「俺は昨日もずっとこの牢屋に居たのは看守が知っているだろう。」
 「だが、エルハム様はいなくなられた………。」
 「やっぱり………か。」
 「やはり、おまえは何か知っているのだろう!?」

 セリムはミツキの胸ぐらを掴み、詰め寄った。それを見て、アオレンは「セリム、落ち着け。騎士団長として恥ずかしいぞ。」と、それを窘めた。すると、ミツキを睨み向けたあと、乱雑にミツキの体を突き飛ばした。まだ腕を拘束されているミツキは、そのまま後ろに倒れるしかなかった。


 そんな様子を見て、アオレンは小さく息を吐いた後、ミツキの傍に寄り目線を合わせるように膝をついて話をかけた。

 セリムはそれが気にくわない様子だったけれど、アオレンもそのまま話を続けた。