こんな脅迫とも言える内容の手紙だった。
エルハムがチャロアイトの図書館に内緒で通っているのをコメットの人たちは気づいていたのだ。そして、本の中身を読んでエルハムがミツキのために借りているのだとわかったのだろう。
コメットの目的は、シトロンの国がなくなりシトロンの領地をチャロアイトのものにするのが目的なのだ。
エルハムを使えば取引の材料になると考えたのだろう。
エルハムが借りるであろう本に手紙を残し、エルハムをコメットの隠れ家に誘ったのだった。
「………本はちゃんとミツキに渡してくれるわね。」
「お約束しますよ。あなたが大人しく捕まってくれるのであれば、ね。」
「ここまで来たのよ。先に本をシトロンに届けて。」
「………約束しましょう。では、着いてきてください。私たちの隠れ家に案内します。」
エルハムは、恐ろしさから体の震えが止まらなかった。けれど、それを隠すようにエルハムは手を握りしめ、爪を手の甲に刺して刺激を与えて震えを止めようとしながら、コメットの男の後についていった。
彼が案内した場所は、洞窟だった。
しかし、住みやすいように木でしっかりと天井や壁、床を作り、長細い家のような作りをしていた。そこに、乱雑に置かれた武器や本、服や食具が、天井にある魔法の火で照らされていた。
エルハムが通ると、中にいたコメットの集団は鋭い目で睨み付けるようにエルハムを見ていた。
奥の部屋に案内されると、縄で手を拘束されベットのようなところに押し込まれた。
ふわふわの布団に横になり、エルハムは驚いた。
すぐにでも傷つけられ、殺されると思っていたのだ。そんな姿を見て、森で出会った男は、面白そうに笑った。