第41話「残酷な取引、成立」





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 夜間は警備だけの門番だが、シトロン国の姫が1人でチャロアイトに来たと言う事で、動揺している様子だった。


 「今日は姫としてではなく、エルハム・エルクーリという人として用事があって来ました。夜間に申し訳ないのですが、門を開けてくれませんか。」
 「エルハム姫様、何のご用事なのかお伝えください。国の者に確認をとらなければいけないのです。」
 「そんな時間はありませんっ!」
 「………姫様。」


 エルハムの迫力に、門番の男達はたじろんでいた。その隙に、エルハムは門番達が通る門ではなく扉に入り、すぐに扉の鍵を閉めた。


 「え、エルハム姫様っ!?」
 「ごめんなさいっ。どうしても行かなければいけない用事があるの。」


 エルハムは、そのままチャロアイト街に消えた。
 門番の兵達はすぐに仲間を呼び、近くを探し回ったがエルハムの姿を見つける事が出来なかった。



 それもそのはずで、エルハムが向かったのは街やチャロアイト国の城ではなかった。
 門の近くにある大きな森の中だった。