「エルハム様を幼い頃から見ているのです。エルハム様の気持ちはすぐにわかります。」
 「………何でそんな事を急に……。」


 エルハムは自分の顔が赤くなるのを感じながら、焦って言葉を出した。けれど、セリムはきにした様子もなく微笑みながら、エルハムが掴んだ手を反対の手で掴んだ。
 いつもと様子が違うセリムを見て、エルハムは後退りをしてしまう。けれど、手が繋がれているために1歩以上離れられなかった。


 「エルハム様、よく考えてください。ミツキをずっと捕らえておけば、ミツキが元の世界に戻る事はないのです。別れに怯えることなく、毎日彼に会う事が出来るのですよ。」
 「セリム………あなた、何を言っているの?」


 エルハムは、彼が掴んでいる手を離そうとするが、セリムはそれを許してはくれなかった。


 「良い考えだと思いませんか?エルハム様がミツキといつまでも一緒に居られるのですよ。」
 「………あなたに好きな人はいないの?その人が捕らえらながら生きて、それでセリムは嬉しいの?」

 
 エルハムは震える声で、そうセリムに訴えた。