エルハムは、セリムの言葉を聞いて呆気にとられた顔で彼を見つめた。
ミツキの任せていた専属護衛の任務。
こちらの世界に来てすぐに彼にお願いした仕事。あれからずっとミツキはこなしてくれていた。
それを他の人が代わりをする。
エルハムはそれが許せなかった。
ミツキが出来なくなったわけでもないのだなら。
「………専属護衛はミツキです。他の方に任せるつもりはないわ。」
「エルハム様、これは決定事項です。」
セリムはエルハムの言葉を気にする事もなく、勝手に部屋の入り窓のカーテンを開けていく。
エルハムは、セリムを近づき彼の腕を触れて止めた。
「セリム。話を聞いて。私はまだミツキに専属護衛でいてほしいの。」
セリムならばわかってくれる。
ずっと一緒に居た彼ならば、自分の気持ちが伝わっている。
「………エルハム様はミツキを愛していらっしゃいますよね?」
「え…………。」
エルハムは彼に何と言われたのか一瞬理解出来ずに固まってしまった。
そんな様子を見て、セリムはいつもとは違った影のある微笑みを見せたのだ。