第28話「開いた扉」
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ミツキがエルハムの置き手紙を見つけるより前の話。
エルハムは、どうにかしてチャロアイトに行けないかと考えていた。エルハムは昔から城を脱走していたため、それは可能だった。しかし、今はコメットの奇襲事件があったばかりだ。警備も厳重になっているかもしれない。そうなると、チャロアイトに着く前に見つかってしまうかもしれないのだ。
けれど、行くしかないと思いながらも、悩んでいたのだ。
しかし、思いもよらない事から、その悩みは解決されたのだ。
エルハムはとある準備をしてから、チャロアイトへと向かった。
城は少し朝日が昇った明朝とあってそこまで警備が厳重ではなかったため、エルハムはいつも通りに抜け出す事が出来た。
城下町は店の準備をする人がまばらに居たけれど、皆忙しなく動いており、エルハムに気づく人などいなかった。
エルハムは山道を歩くと商人達と何人かすれ違う。朝早くから店の準備をしているのだと改めて知ると感謝の気持ちでいっぱいになる。シトロン国の人たちもこうやって働いているのだ。
エルハムは高まる気持ちを抑えながら、自分が姫だとバレないように挨拶だけは交わしながら歩いた。
ここでエルハムだとバレてしまうと、トンネル付近にいるであろう騎士団員にバレてしまう。そうなれば、すぐに城に連れ戻されてしまうのだろう。それに見つかった相手がコメットであったならば、最悪だ。コメットの集団に見つかれば、命の危険があるのだ。
エルハムは、キュッと服を握りしめた。