第22話「オレンジ色の瞳が見つめる先は」




 それからしばらくの間、コメット達は何度かエルハムやセイがいる城を襲撃した。けれど、それらは全て騎士団によって撃退されていた。ミツキやセリムも戦っていたけれど、いつも逃げられてしまっていた。
 けれど、エルハムは怪我をした人もほとんどおらず、セイも無事なのが何よりだとエルハムは思っていた。

 
 そして、ミツキへの想いに気がついたエルハムは、彼に会う度にドキドキしながらも、それでも前のようにぎくしゃくしているよりは話すことが出来ていた。
 それに、ミツキの傍にいる事が嬉しいので、今までと同じように彼と共に過ごそうと思っていた。


 この日は、城の敷地内にある古い資料室に籠っていた。もちろん、部屋の中にも外にも騎士団員が居てくれる。
 それに、ここにはシトロン国の大切な資料が残されている場所なので、普段から警護もしっかりされている所なので安心出来る建物だった。

 大量の本や資料が保管されているこの場所で、エルハムは朝からずっと探し物をしていた。
 吹き抜けの窓から射し込む太陽の光を頼りに文字を辿っていくと、あっという間に時間が過ぎていた。


 「んー………やっぱりニホンについて書いてあるものはないわね。」


 エルハムはそう呟くと、本を閉じてから体を大きく伸ばした。集中していたせいか、ずっと同じ姿勢でいたため首が痛くなってしまい、首をゆっくりと回すと首が鳴るのが聞こえた。


 「昨日城下町で買ってきた食材で、お菓子でも作ろうかな。セイや騎士団の人たちに配ったら喜んでくれるわよね。」


 エルハムはそう考えると、数冊の本を抱えたまま資料室を出た。

 すると、丁度こちらに向ってきていたミツキとばったりと会ったのだ。