ミツキは優しい言葉でそう言うと、エルハムを見つめて微笑んだ。
 ミツキはこんなにも自分の事を考えてくれている。それがわかり、先ほどまで彼を疑ってしまった事をエルハムは恥じた。
 そして、ミツキの言葉を聞いて、エルハムは自分の心が揺らめいているのを感じた。
 

 私はミツキの事を…………。


 そう思うとキューッと胸が苦しくなったが、それさえも心地よいと思ってしまう。彼への気持ちは、もう誤魔化せないとわかってしまった。


 「ねぇ、ミツキ。」
 「何だ?」
 「………今のは約束だよね?それに、この間の2つ約束をした時、ぎゅーってしてなかったよね?………今、してくれないかな。」
 「………おまえな。子どもじゃないんだから。」
 「シトロン国の伝統的な約束の交わした方よ。………だから、ね?」

 
 エルハムがお願いをすると、ミツキは恥ずかしそうに微かに頬を染めながら、「ったく……。」と、仕方がなさそうに腕を伸ばして、エルハムの肩をつかんで引き寄せた。

 少し乱暴にエルハムを胸に出しめたミツキだったが、包む込む腕はとても優しかった。
 

 ミツキの体温、匂い、そして鼓動を感じた。自分と同じぐらいに早く鳴っている彼の鼓動を聞くと、エルハムは彼も同じ気持ちなのだろうかと思い嬉しくなった。
 ミツキを感じながら、エルハムも腕を伸ばして、彼の背中に手を回した。

 今、この瞬間がまだまだ続いて欲しい。
 そう思った。

 そして、エルハムは心の中で呟いた。


 私はミツキが好きなんだ、と…………。