自分が勘違いをした事を恥じていると、ミツキは何かを感じ取ったのかクククッと笑っていた。


 「やっと笑ったな。そんなにプレゼント嬉しかったか?」
 「………嬉しいよ?ミツキが選んでくれたハンカチも、ミツキが持っていた大切なお守りも………ミツキが頑張って縫ってくれたのも。」


 エルハムはそっとミツキの指先を見つめた。彼が怪我をしていたのは、裁縫をしたからなのだろう。それをエルハムに見られてしまうのを避けるために、ミツキがエルハムの手を拒んだ、と言うのがわかったのだ。
 でなければ、先ほどから何度も手に触れたりしないだろう。
 エルハムは口元がニヤけてしまうのがわかった。

 「エルハム。おまえを怖がらせないために言わなかったけど、この城にもコメットが侵入しようとしたんだ。騎士団がそれを阻止したけど、エルハムを狙ったのか、セイの方だったのかわからない。」
 「え………そんな。騎士団のみんなは大丈夫なの?それにコメットは……。」
 「騎士団は無事だが、コメットは逃げた…………。これから、コメットと戦闘になる事もあると思う。だから、おまえと約束したいと思ってこれを選んだ。」
 「………約束?」


 エルハムが持っていたお守りとハンカチを包むように、ミツキが両手で包み込んだ。
 先ほどまでの得意気の表情はなく、とても真剣そのものな表情だった。


 「次は、このハンカチを血で染めたり、涙で濡らしたりしない。そしてこのお守りみたいに、俺がエルハムを守るから。だから、エルハムはエルハムで今まで通りに過ごして欲しい。」
 「………ミツキ。」
 「エルハムは町のみんなやセイが心配なんだろ?前みたいに頻繁にとはいかないけど、また出掛けていけばいいと思うし、セイに会えばいいと思う。俺がフォローするから。」