「兄ちゃん、タレに付けすぎ。塩っぱくなるぞ」

幾ら邪魔をしたら気が済むのか分からない。
が、急いでタレを引き上げ、海苔を巻いて手渡すと、彼女はけらけらと笑いながら受け取った。

頬が火照っているのはきっと気の所為だろう。
さっきまで団子を焼いていたのだし。
真逆、真逆あの感情な訳が_______________

「兄ちゃん、これお代金の代わり。…駄目かね?」

彼女が申し訳なさそうに差し出したのは、黄金色の硝子玉だった。

「…お金、忘れたの?」

「…忘れたというか…まあ駄目かね?」

「ツケにしてもいいよ」

「否、これで払う。じゃあ」

慌てて追いかけると、既に彼女の姿は無かった。