「……どういう事だ……?」

ゴミ箱の上にいる野良猫がにゃあ、と欠伸をした後鍵を見つめている。
ここで取られたら本当に取り返しがつかなくなるので、慌てて拾い上げると、猫は興味を失ったようにふらりと路地裏に消えた。

「……あの子、何だったのかな」

どうせ団子屋に戻っても客なんか来ない。
下らない、と自分では分かって居ながらも猫が消えた方向へ歩んだ。