「……何だ、代金はもう払ったぞ」

「ああ、すみません。どうぞ」

急いで団子を渡すと、彼女は目を見開いた。

「……これが団子か?」

「え?」

「……美味だ!」

美味、美味と呟きながら口一杯に団子を頬張る彼女は、ハムスターのように見えた。
とはいえ、飲み込むペースと食べるペースがあっておらず、どんどん苦しそうに顔を歪めているが。

「……お客さん、飲み込んで下さい」

「…う、どんどん絡みつくではないか」

「兎に角噛んで、よく噛んで飲み込んで下さいよ」

「………………」

ピタッと静止したかと思えば、真顔で口の中の団子を噛んでいる。
この歳で団子を食べた事が無い子は多いのだろうか……?

「……ん。美味だった」

相変らず古風な口調で串をぽいっとゴミ箱に投げ捨てた彼女は此方を振り向いてふとにやりと笑った。

「兄ちゃん、これなんだ」

彼女はひらりと何かを手に提げて笑った。

ー彼女の手に握られていたのはー