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「アズサちゃーん!ゴロウのお兄ちゃんがお迎え来てくれたよー!」


「あ~!ゴローちゃんだ!」



保育園のお迎えは、
いつも一番最後だった。


お母ちゃんも“経理”と呼ばれる仕事を家でしながらみんなのお世話をしていたので、

いつも友達が一人、また一人と親の手を引いて帰って行く姿を見送っていた。



「アズサ様。お迎えに上がりました。」


「くるしゅうない!
おもてをあげぇ~い!」



お母ちゃんがどうしても手を離せない時、
ゴローちゃんが保育園まで来てくれた。


いつものやり取りをすると、いつも保育園の先生達は顔を引きつらせる。


ゴローちゃんの見た目が“怖い”、“柄が悪い”なんて一度も感じたことは無かった。




手を繋ぎながら歩いた帰り道。


『こいつは一番の古株で、
今じゃ立派な俺の右腕だから!』と、

両腕ちゃんとあるはずのお父ちゃんが言っていた意味は当時全く分からなかったけど、


30以上も歳が離れていたゴローちゃんはいつも私がねだると肩車をしてくれて、

一緒に夕陽を眺めてくれた。