「これは天命だと思います。
おやっさんが俺を逃がしてくれたあの時、
俺には2つの使命が与えられたと思った。
1つは今こうして果たすことが出来たのであと1つ・・・。
姉御を見殺しにして・・
今もノウノウと生きているあの女・・。
【村山セイコ】を殺す・・!!!」
“ドクン!”と心臓が脈打つ音を確かに聞いた。
タク坊の告白に、私の中で何かの線が切れた音を確かに聞いた。
「・・・・お母ちゃんの・・・
・・・・仇討ち・・。」
「ヘヘッ・・ご安心くださいアズサちゃん。
もう娘も今年成人になったので、
俺がいなくてもやっていけるでしょう。
この世に未練はありませ・・。」
「私がやる。」
「!?」
「だったら・・私がその女を殺す・・。」
「それはダメだ!!
おやっさんの遺志に反する。
あなたはどうかお幸せになってください。」
「私の幸せってなに・・?」
「・・!?」
「結婚・・?就職・・?
埼玉でずっとこのまま暮らす事?
私の幸せはムコウジマにしか無いんだよ?
私の幸せは、お父ちゃんとお母ちゃん。
ゴローちゃんやみんな・・・・。」
「・・・・・・・・。」
「タク坊なんだよ・・・?」
「・・・・・・・。」
「私は桐谷ダイチとヒロコの娘、
“桐谷アズサ”なんだよ!?」
「・・・・・・・・・・。」
お父ちゃんはお母ちゃんの仇討ちを果たした。
でもまだそれは終わっていなかった。
私の幸せを奪った人間がまだいるのなら、私の本当の幸せはその人達を殺した後に訪れる。
・・・・・お父ちゃん・・・・。
私にはお父ちゃんと同じ血が流れてるんだよ・・?
だから・・いやだからこそ・・・。
私はお父ちゃんの遺志を継ぐ。
第6話 完