「娘の名前です・・。」


「え・・・。」


「ヘヘッ・・おやっさんにも秘密にしてたんですけど、

俺・・子供がいたんですよ。

でも俺がこんなんだったから、女房に愛想つかれて子供と一緒に出て行かれて・・・。

独りで飢え死にしそうになってた所をおやっさんに拾ってもらったんです。」


「そうだったんだ・・。」



しばらくタク坊の話を聞かせてもらった。


お父ちゃんの会社で働くようになって、フラフラしていた自分の人生が更生していった事。


別れた奥さんが病気にかかった事をきっかけに、再び一緒に暮らすようになった事。


今はお嬢さんと二人で暮らしている事。




お父ちゃん達が起こした襲撃事件・・・その唯一の“生き残り”と言えるタク坊が、

その後どんな人生を歩んでいたのか聞いて私は安堵した。


寄り添える人、寄り添ってもらえる人、

タク坊の人生が私のせいでメチャクチャにならなかった事がとても嬉しかった。



「・・・・今日はあの時の真実を話しに来ました。

おやっさんがアズサちゃんに遺した言葉、聞いてください。」


「・・・・・・・・・・・・。」