ゆっくりとブランコが止まる。


同時に私は立ち上がって、
後ろを振り返った。


「・・・・・・・・・・・・。」


「・・・・・・・。」



私は成人になったと・・

あの時から長い歳月が経ったと改めて実感させられた。


歳を重ねたタク坊がそこには立っていたけど、

恥ずかしそうに首を少し傾けて俯く、その癖はそのままだった。


「姉御に似て・・・
綺麗になりましたね・・。」


「ありがとう・・・・。」


「お辛い日々を乗り越えて、
よくぞご立派になられました。」


「いつも死ぬ事ばかり考えてた。

高校生の時にタク坊がくれた折り鶴のおかげだよ。」


「本当は今日まで会わないようおやっさんに言われてたんですけど、

アズサちゃんの事をずっと影から見守る日々の中・・・

無理して大姉御や親戚の皆さんに笑顔を見せていたアズサちゃんの姿を見てたら・・

我慢できなくって・・。」


「・・フフッあの差出人の名前はなに?

偽名を使うなんてタク坊にしては機転が利いてたね。」


「ヘヘッ俺だってちょっとは“学”をつけましたから。

俺の名前でそのまま出したら大姉御の目を誤魔化せないと思って。」


「うん。お婆ちゃん、勘が良いから。
私に見せる前に処分してたと思う。」