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成人を祝い、各地でかつて私が好きだった“ドンチャン騒ぎ”が行われていた深夜、


私は人目につかない公園のブランコに座っていた。


「・・・・・・・・・・・・・。」


「・・・・・・。」



ふいに背中に力が加えられ、
体が前後に揺らされ始める。


驚きはしなかった。

それよりも、本当に来てくれたという安堵の方が強かった。


「タク坊・・・久し振り・・・。」


「ご無沙汰してます・・。
・・アズサちゃん・・。」


ブランコがゆっくりとこぎ始める。


背中から聞こえてくる声は、
あの頃のままだった。


「昔も・・こうしてタク坊やゴローちゃんが一緒に公園で遊んでくれたよね・・。」


「飯の時間になっても全然ブランコから降りようとしないから、

結局姉御に出動してもらって・・

大泣きするアズサちゃんを俺とゴローの兄貴で一生懸命あやして・・。

今でも昨日の事のようです。」


「・・・・・・・・・・・。」


「・・・・・・。」


「タク坊・・・。」


「はい。」


「・・・・顔が見たい・・。」


「・・・・・・・・・。」