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「じゃあ、元気でね。たまには遊びに来てちょうだいね?」



「はい。ありがとうございます」



壮ちゃんの家の玄関で、隼人が壮ちゃんのお母さんに深々と頭を下げる。



「じゃあな。すまないが、智久のこともよろしく頼むな」




「はい」





壮ちゃんのお父さんに肩を叩かれ、もう一度頭を下げた後、隼人がこちらに走ってくる。





「ごめん。じゃ、帰ろうか」



「うん」




私たちは、並んで歩き出した。









帰りの新幹線では、壮ちゃんの話題で持ち切りだった。




私が壮ちゃんと病院で出会っていたこと、壮ちゃんの病気がとても重いものだったこと、いつも隼人のことを話していたことを話した。



「初めて入院した時にね、壮ちゃんに会ったの。同じ階で、年の近い子があんまり居なかったからすぐに仲良くなって」



「入院? 愛珠、どこか悪いのか?」



心配に顔を歪めて私を見つめる隼人。



「ううん。喘息だったんだけど、今はもう治ったよ」



「そっか。良かった」



壮ちゃんと重ねてしまったのだろうか、私がそう言うと隼人は少しホッとしたようだった。