《side隼人》



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――カンッカンッカンッ!



慌てて階段を駆けのぼる。



――ガチャッ!!



ドアを勢い良く開けて、一番最初に目に飛び込んできたのは壮介のお母さんとお父さんだった。
その他にも、このマンションに住む人達が何人かいる。


何だ? 何が起きている?



『……すけ……壮介! はやく……来なさい!』



壮介のお母さんの声が途切れ途切れに聞こえる。
強い風で、何を言っているのか分からない。



凄く、嫌な予感がする――。



ゆっくりと、近付いていく。

次第に、壮介の華奢な体が見えてくる。
壮介の立っている場所は――フェンスの外側。



『あっ、隼人君! 良かった、あなたあの子と仲良かったわよね!? はやくあの子をこっちに連れ戻して!』



壮介のお母さんが、俺の腕を掴む。



勿論ですよ、と壮介の方に歩き出そうとすると壮介の声が響いた。



『来んな!!』



『え?』



『お前だよ! お前の……隼人のせいだよ!』



――え? 何が? 何て?



その一瞬だけ、タイミング良く風が止む。



『お前があの時、――1年前、死なせてくれれば! こんなに苦しまずにすんだのに! 1年前、悪夢が続いただけだった!!』



『落ち着けって! はやくこっちに戻ってこい!』