《side愛珠》
…………何なの、この状況。
「こんにちはー、はじめまして! 隼人の親友の、中田智久でーす!」
「親友じゃないし。ってか何で着いてきてんの? 来んなって言ったよね?」
「尾行ってやつ? いや、俺すごくね? 尾行だぜ、尾行」
「すごくねえ。それただのストーカーだから」
「何でここに来ること隠そうとしたわけ? 親友だと思ってたのに!!」
「だから親友じゃねえって。だいたいお前はうるさいから連れて来たく無かったんだよ」
「うるさいなんて失礼な。ねー?」
その人は私の方を向き同意を求めるように首を傾ける。
「高瀬さん怖がらせんなよ」
「あっ、分かった! この子を独り占めしたかったんでしょ?」
「はあ? やめろ、何でもお前と一緒にすんな」
「ちょっと待って何それー。俺がたらしみたいじゃん」
「事実だろ」
「ひっでー!」
せんせー、なんかさっきから男子高校生二人がじゃれてます。
「帰れよ」
「やーだ」
「かーえーれ」
「いーやーだ」
せんせー、なんか二人はとっても仲が良いようです。
数分前。
また今日も隼人先輩が病院に来てくれた。ただ、いつもと違ったのは先輩一人じゃ無かったこと。
毛先だけの赤メッシュ、緩んだネクタイ、光るピアス。
それらは校則で禁止されている。
実際、破っている人など何人もいるだろう。たが校舎が分かれている上に一学年400人以上いる。
目にしたのは初めてに近い。
外見だけで言えば不良。
でも、中身はそんなに怖い人じゃないみたい。