屋上でそんな調子で気を揉んでいると、二人は突然現れた。
「おひさ~」
いつも通りの気の抜けるような中田先輩の声がして、そこには中田先輩と麻友子が立っていた。
――手を繋いで。
「おう、おひさ……って、お前ら――」
隼人もすぐに気付き、驚いた声を出す。
「そう、俺ら付き合ってんの」
「はあああああああ!?」
「ええええええええ!?」
私達の声が青空の下に響き渡った。
「え? ちょっ、いつから!? てか、えええ!?」
え、この二人は相性悪いと思ってたのに――。
気になることがありすぎて、何から聞いて良いのか分かんない!
「まあまあ、落ち着いて愛珠」
「いや、落ち着けるか!」
「智久ー、ちゃんと説明しろよ~」
この状況に流石の隼人も興味津々で二人を問い詰める。
「えー? 何を説明すんだよ。……んー……俺が口説き落として、先週から俺の彼女ってこと」
あ、中田先輩から……いやそれはそう思うけど。んー……いや、思わない……かも?
「まあそういうことよ」
そう言いながら中田先輩は麻友子の肩を抱く。
麻友子は頬を赤く染めながら恥ずかしそうにはにかんだ。
うわあ、幸せオーラ漂っちゃってるよ。
「何で教えてくれなかったのよ~」
「だって……何かタイミングが……」
私が聞くと麻友子はそう言葉を濁す。
きっと色々あったんだろうな。
「ま、とりあえず、おめでとう!!」
「ありがとう」
そんなこんなで、久しぶりに麻友子のお弁当を四人で囲んだ。